【まほプリ2】OPの西暦表示の謎

ネタバレ注意，未視聴者バック推奨

まえがき

任意の創作において，劇中の年代の設定と公表は極めて慎重に実施しなければならない． 物語への理解について，受け手のことを考えれば，作り手としては当然である． 例えば，新劇場版エヴァでは，ヴンダーの起工日が11805/06/21であることがシンエヴァで明かされた． 人類紀元を参考にしていることが，完結作品になってようやくわかったのだ．

祝：まほプリ2

さて，先日ついに「まほプリ2」こと「魔法つかいプリキュア！！〜MIRAI DAYS〜」の第一話が放送となった． www.toei-anim.co.jp それと同時にオープニング映像も公開された． www.youtube.com そして，その1:10~1:12において，4つに並んだテープ状の西暦表示リールと正転する西洋式の時計が確認される．

過去

有識者のツイートを漁ると，「まほプリ1」では西暦の表記が2回あり，一つが「'95」，もう一つが「2009」である．

そのため，「まほプリ1」の放送年が，そのまま作中年であり，主人公2人組の年齢は西暦で計算できる，という解釈が主流である（私もこれに異論はない）． さらに，最終話で再開した日付は「2022/03/19」とされている．

解析

さて，コマ（フレーム）送りをやってみる． zshとyt-dlpとffmpegを導入して以下

yt-dlp -i "https://www.youtube.com/watch?v=y5dpB20vJ34" -o OP
ffmpeg -i OP.webm -vcodec png frame%04d.png

を実行すると，合計4GBの2160個のpng形式の連番画像が出力される. これは1分30秒=90秒で24fpsのフォーマットであると考えられる．
以下は最初に時計とリールが表示される1686フレーム目である． 時計は02:09を指しているほか，リールの表示する年代は左右で近い値である． 次の1687フレーム目からは，リールが左から「上」「下」「上」「下」と流れることが見て取れるほか，時計が進む様子もわかる． また，その範囲は最低でも，左から「2029~」，「~2034」，「2043~」，「~2048」である． リールが止まるのは1694フレーム目である．また，豚たちが邪魔なので1701フレーム目と比較する． この時点で，その範囲は最低でも，左から「2029~2037」，「2026~2034」，「2043~2051」，「2040~2048」であり，いずれも9コマ分に相当する． 1702フレーム目からリールが動き出す．なお，時計は正転を続けている． 衝撃的であるのは1716フレーム目であり，リールが止まった時点でブツ切りされるらしい． 一番左が「2031~2038」，一番右が「2040~2047」であることが確定し，どちらも8コマ分に相当する． 1722フレーム目から，右から二番目は「2045~2052」であり， 1724フレーム目および1726フレーム目から，左から2番目は「2026~2033」である． そして最終的に，豚たちと共にリールは時計に吸い込まれていき，1728フレーム目で終了する． 以上，合計で1.75秒にわたるカットであったが，考察ポイントもある．

1：リールのコマ数の変更

これらリールはおそらくはCG化された文字オブジェクトを移動させているものだと思われるが，9コマ分である「2029~2037」「2026~2034」「2043~2051」「2040~2048」から，8コマ分である「2031~2038」「2026~2033」「2045~2052」「2040~2047」に変更されている． なお，リールの表示レンジも変化しているほか，リールの移動速度もバラバラであるため，単に見せ方というかレイアウトの都合かもしれない． さらにいえば左右でそれぞれ年代が被っているので，ありがちなループものの設定によるものとは考えづらい．

2：リールのコマ数と向きの選定

そうすると，リールがブツ切りされたことにより強い意味合いが存在すると考えて良いだろう． 強いて言えば，例えばアイルくんが全能神を相手にやったように，2人の人生から成長といった「時間」を奪うとか？ それが作中で2回も発生して，1回ずつが左右2つずつのリールに相当し，リールが上に動く即ち前進する側が「朝日奈みらい」，下に動く即ち後退する側が「十六夜リコ」とか… しかし，果たして8という数字に意味があるのかがわからないし，そもそも微妙に被らない期間が存在することにかなりトラップを感じる．

3：アイルくん

本作の暫定ボスのアイルくんには以下の特徴がある

  • 宇宙空間を生身で浮遊する
  • 天球儀をモチーフにした固有結界というか領域展開をする（CG撮影），黄道12星座の並びから頂点が北極星である確認はできた
  • 厳密には魔法使いではないらしいし，立派な杖も持っていないらしい
  • 謎ポットに混沌の置き土産であるらしい謎怪獣を飼い慣らし，謎光線で攻撃する
  • 全能神を相手に「何とか手に入れた」で済ます，その際に時計が逆転するエフェクトが出る
  • 「11:00:35」の時点で「次に会うのは14時間と4分後」と宣言する，次に会うのは日付が変わって「01:04:00」あたりになる
  • キュアミラクルとその本名を知っている

この中では「時計が逆転する」というのが大事そうだが，それだと「時計が正転しながらリールがブツ切られて没収される」という演出の意図とそぐわない． キラークイーンとキングクリムゾンとメイドインヘブンが全く異なるのと同じように…
ちなみに謎怪獣は1986フレーム目あたりのこれかもしれない． カービィで見た

4：「豚」

直前のカットではマスコットがその他の3匹の動物を引き連れて行進していたが，そもそも動物が出るカットはそことここの2つしかなく，そしてなぜかこのカットには豚しか出現しない． なにより豚は宗教的な色合いが強く，なぜそれを選んだのかが気になる．

5：時計のモチーフ

241フレーム目にある通り，主役3人による三位一体で「時計」を表現している．何故か直後に爆発する． 他方，347フレーム目では，アイルくんと「砂時計」が同時に表現されている． 一般論として「砂時計」は逆転が容易である存在だが，本編ではわざわざ「時計」を逆転させており，となると描写に一貫性がない． 強いて言えば，例えば混沌の置き土産であるらしい謎怪獣の固有能力が「時計の逆転」であって，アイルくん自体は「砂時計」のような存在かもしれない． しかしそうなると「砂時計」は1つで良いはずで，なぜ2つあるのかがわからなくなる… まさか緑色が全能神ことはで黄色がまほプリ1の混沌神デウスマストとか？
【追記】黄色がモフルン説を見かけてゾクッとした，いくら無機物だからって限度があるだろ…

最後に

1クール12話できちんと起承転結を済ませて対人戦闘まで見せて欲しいよね…
誰だよヒスイって！

2話時点での追加情報

「ヒスイ」は自称だった

てっきり2人が名付け親になるのかと思ったら自称した，さらに魔法は全く使えないことが確定した． ただしみらリコの視点でははーちゃんと似ているように映った． なお完全に記憶は喪失している．

アイルくんの挙動がおかしい

お前何なんだよ！

  • お約束では「魔物化させる中ボス格〜ボス格の敵キャラ」＋「魔物化させられた元何かの敵キャラ」であるが，今回はアイルくんが不在のままブロックの如き魔物が出現した
  • 宣言した時刻「01:04:00」よりかなり早い段階の夕方で襲撃された，故に「絶望した自分と向き合う」と「敵襲」は全く関係ない
  • 「次にお前は『あなたの言う通りだった』と言う！」「あなたの言う通りだった…ハッ！？」
  • ただし「次に会う」と宣言したのに会ってない，ニュータイプの感応みたいな幻覚を見せられただけ
  • というか魔法界と無魔法界は時刻まで完全に同期しているっぽい

刻の魔法

3話の予告で「刻の魔法」がどうもアイルくんの法術？魔法？の名称らしいことが推定された． そして例の幻覚を「魔法の杖の音」と呼称するあたり「魔法の杖」の方に何か厄ネタがありそう． 幻覚の中でアイルくんはヒーちゃんが欲しいといった旨の発言をしていた． www.youtube.com 個人的に一番に気になるのは，例の固有結界に変身前のみらリコが巻き込まれている点である． それが可能であるならばどう考えても2人が揃った任意の瞬間に固有結界に巻き込むべきだし，固有結界に巻き込む用事があるなら変身後のプリキュアにわざわざちょっかいをかけるのはリスクを伴うし，魔物の出現に固有結界は関係ないことが判明している． よって変身後でなければ刻の魔法とやらはかけられず，久しぶりの変身を待ってから満を辞して固有結界を展開したと考えられる． ただ効果が持続してカタツムリニアに乗ってても発動するのはちょっと無法すぎるとは思うが…

フラッシュバック？

空白の5年間のリコの記憶が出てきたと思えば，明らかに存在しない記憶（ヒスイとアイルくんの対話）も出てきたり，効果があまりにもチグハグすぎる． もっと描写が必要…